中高一貫数学コース 受講案内
中学数学コースについて
はじめに
このコースは昭和薬科中・球陽中・開邦中など、沖縄県内中高一貫校在校者を対象にした、数学コースです。中高一貫校の在校生の皆さんの多くは、卒業後に大学あるいは大学院に進学し、主として知的専門職に就くことを目指していることでしょう。
このために、いわゆる難関大学に合格する。
そのためには入試で必要な数学を勉強する。
リベラルアーツは「塾」ですから、大学入試を目指して切磋琢磨することは大切だと考えます。ただ、それだけのために中学校・高等学校の6年間を費やすのか…と考えると息切れしてしまいますね。
ではなぜ、数学を勉強する必要があるのか?それは、大学での学びの基礎になるからです。理科系であれば、数学を大学に入ってからも使うことは当然だと思えるでしょう。文科系はどうでしょう?
たとえば東京大学経済学部のコース案内や、一橋大学経済学部・商学部の履修ガイドを見ると、線形代数学や微分積分学、統計学の学習が事実上必修となっています。つまり、数学を学習しないと卒業できない・科目選択が制約されるのです。
社会に出てからは?これは、ゲーム会社「セガ」の社内研修資料です(本になるみたいです)。3DのCGを動かすために、三角関数であるとか、線形代数の知識が必須になっていることがわかります。また、大学を出てから大学院でMBAを取得したいと考えた場合、数理ファイナンスの知識が必要になったりします。
まとめると…どのような人であっても、6年後、10年後、20年後…どこで何をしているのか、正確な予測が困難な時代に生きています。だから、これから起こることに備えて、今のうちに幅広くしっかりと学んでおくことが大切、ということですね。とくに数学はAIの時代に一番の基礎となる学科なのです。
というわけで…どのみち数学を学ばなければならないのなら、それは興味深く、そして試験にも役立つほうがいい。そんな思いからこの中学数学コースを立ち上げました。
中2で中学全範囲をマスター
中高一貫校で学ぶ大きな利点は、数学の先取り学習ができることにあります。
中学レベルの学習内容と高校レベルの学習内容を比べると、高校レベルのほうが難しく、しかも、学ぶべきことが数多くあります。
わたしの卒業した埼玉県立浦和高校は、高校1年で数学Ⅰと代数幾何(いまの数ⅢCのベクトルなどが対応)、高校2年で基礎解析(数学ⅡB)、微分積分(数Ⅲ)、確率統計を終えていました。大学入試のことを考えると、遅くとも高校2年までには、高校での学習範囲を終了させておく必要があるのですが、それにしてもかなりのスピードです。
なぜ、高校の学習範囲を遅くとも高2で終えないといけないのか。それは、いろいろな単元の融合問題が大学入試(とくに国立大学の二次試験)で出題されるためです。個別の単元の知識を基にしてさまざまな分野をつなげ、見通すことができるような力が二次試験では求められます。高校3年の一年間は、このような総合力を養い、過去問演習に充てる時間とするのが今や常識といえます。
リベラルアーツでは、中2で中学の学習単元を学び終えます。中3では、高校の学習内容である数学ⅠAを学びます。
難しく、量も多い高校数学の内容に時間をかけることができる—これこそが中高一貫生のメリットなのです。
学習の形
新しい単元に入るときには、講師のほうから学習内容の説明を行います。その際、なぜこのような学習内容を学ぶ必要があるのか?(科学的・社会的な問題を解決する上でどんな役に立っているのかといったことの理解を深める)どのような理由でその公式が導かれるのか?ということをしっかりと説明します。導入部分では、かなり基礎的な説明をします。はじめから青チャート水準の内容を自力でサクサクと理解できる方なら、そもそも塾は不要でしょう。進学校のペースは基礎的な部分が「わかっている」ことを前提にして進みます。この部分の理解をおろそかにして難解なことを学習しようとするのは無謀といえます。リベラルアーツでは、知識の欠損部分をなくし、土台を確かなものにしていきます。
学習内容の説明を踏まえて、理解を定着させるための問題演習を行います。はじめは難易度の低い問題を数多く解くことで、抽象的な概念に対する心理的不安感を除去し、スモールステップでレベルアップを図ります。ほとんどの進学校では、教科書傍用の問題集などが用いられると思いますが、解説部分が簡略化されていたりして、数式と数式の「行間」を自力で埋める作業が求められたりします。リベラルアーツでは、「行間」部分の説明をていねいに行い、納得感をもってもらうように努めます。
単元のまとめとなる項目では、生徒と講師の双方向的な対話演習を行います。数学の概念は、だれかに説明することができて初めて理解したと言えるからです。
中学校1年~2年(一次不等式や連立不等式など、一部数学Ⅰの内容を含む)の代数・幾何を学びます。具体的には、中高一貫校採用教科書である「体系数学1」(数研出版)の代数編・幾何編に相当する内容を学びます。
中学校2年~3年(一部数学Ⅰの内容を含む)の代数・幾何・確率を学びます。具体的には、中高一貫校採用教科書である「体系数学2」(数研出版)の代数編・幾何編に相当する内容を学びます。受講生の習熟度によっては数学Ⅰの内容も本格的に取り扱います。
まず、数学ⅠAの基礎的な内容を、2~3か月程度入門レベルのテキストにより学びます。その後、全国の進学校で採用されている網羅的参考書(青チャートに相当)の各論点を潰していきます。とくに、数学Aの確率、整数の単元を丁寧に学びます。